ニットリビア・バックナンバー

第46回・工業用のミシンにはどんなものがあるの? 縫い目のスタイル篇


前回からかなりブランクがあきまして申し訳ございません。今回は、工業用ミシンの種類に関して、数回にわたってお話しを続けたいと思います。

前回お話ししました通り、衣類を製造するために使われる工業用ミシンは、いかに速く、大量に製品を作るかに主眼を置いておりミシン本体だけでも3,000種類を超えるとされています。これらは縫い工程に応じてさまざまな種類に特化されており、縫製の際には工程や用途に応じて適切に使い分けることが重要となります。今回は、縫い目(ステッチ)のスタイル別にどんな種類があるかをご紹介致します。
1)本縫ミシン
縫製工程で最もよく使用されるミシンの種類で、一般にミシン目と呼ばれる1本の点線ないし破線状の縫い目が特徴です。縫針1本に対して針に通した糸(針糸)とボビンという釜の回転によって送り出される下糸(ボビン糸)の、2本の縫糸が使われます。
下糸は一定の長さまでしか蓄えられないため、途中で下糸がなくなった場合は、新たに下糸を補給する必要があります。また、針糸と下糸が生地の内部で交差するため縫い目の伸縮性が乏しく、そのためニット生地同士を縫い合わせると縫い糸が切れやすくなる欠点があります。
2)単環縫いミシン
縫い針の上下運動に応じてミシン下部にあるルーパーを回転させることで、1本の糸で鎖状のループを作って縫い目を形成するミシンです。縫い目に伸縮性があるため、ニット生地同士の縫い合わせにも適しており、また本縫いとは違ってボビン糸の補給も不要ですが、縫い糸が切れるとほどけてしまう短所があります。
3)二重環縫いミシン
2本以上複数の糸でつくられるループによって縫い目を形づくるミシンです。単環縫いよりも伸縮性にすぐれるため、特に伸縮性や身体へのフィット性が要求される部分の縫製に適しています。
4)縁かがり縫いミシン
1本以上複数の糸でつくられるループによって縫い目を形づくるミシンです。生地を切り揃えながら端を縫い合わせていくため「オーバーロック」とも呼ばれています。多くの縫い合わせに応用できるため、種類が多く、生産工場でもかなり多用されています。ほつれを防ぐため、糸を絡ませる空縫いが必要となります。
5)偏平縫いミシン
二重環縫いミシン同様、2本以上複数の糸でつくられるループによって縫い目が形づくられます。生地の表面で波状にループする縫い目が特徴で、主に生地同士を突き合わせて縫製する場合に用いられます。「フラットシーマー」とも呼ばれています。
6)複合縫いミシン
異なる複数の縫い目を同時に形づくることのできるミシンで、「安全縫いミシン」とも「インターロック」とも呼ばれています。
7)特殊縫いミシン
特殊な縫い目を形づくることのできるミシンです。ジグザグに縫い目をつくる千鳥縫い、縫い目のほつれを防ぐための閂止め(かんどめ)、ボタン付けと穴かがり、刺繍などがあります。特定の用途に特化しているため、その種類は多岐にわたります。
8)溶着ミシン
高周波や超音波などを利用して、生地を融かして接着させることで縫い合わせるミシンです。縫糸や縫針を必要としない特徴がありますが、素材によっては繊維が融けなかったり焦げたりするおそれがあるため、あまり使われません。

ここまでお話ししました通り、工業用ミシンは縫い目(ステッチ)別に8種類に分類され、それぞれJIS L 0120規格にしたがってステッチ形式番号が付けられています。また縫いの用途に応じて、縫針は1本だけでなく、2本から最大4本程度まで装備されているミシンもかなりあります。
次回は、もう1つJIS規格で分類されているシーム(縫いによる継ぎ目)のスタイル別にどんな種類があるかお話ししていきたいと思います。

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第46回・工業用のミシンにはどんなものがあるの? 縫い目のスタイル篇

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