ニットリビア・バックナンバー

第10回・絹ってどんな特徴があるの?


今回は、主要な天然素材の中できわめて高級な素材とされる「絹」についてお話ししたいと思います。

絹(シルク)は、別名「生糸(きいと)」もしくは「真綿(まわた)」と呼ばれ、光沢のある美しい繊維が長く連続しているため、昔から高級素材として扱われています。古くからあるヨーロッパと中国、そして日本との交流網が「シルクロード」と呼ばれる程、絹は贅沢品の代名詞とされています。

絹繊維を生み出すのは、カイコガ(蚕)という蛾で、人工的に飼育、つまり養蚕で育てられる家蚕と、野生の野蚕があります。カイコガの幼虫は主に桑の葉などを食し、さなぎになるにあたって、外敵や衝撃などから身を守るために繭を作りますが、その繭から、美しくしなやかな絹繊維を採り出します。

絹の繊維は、繊維質となる2本のフィブロインと、フィブロインを包み込む糊状のセリシンが主成分です。私たちが転んだりして出血した時、その傷口をふさぐ役割をするのがこのフィブロインです。
羊毛と同様に、各種アミノ酸が鎖状に連なり、いくつもの化学的な結合によって形成されています。断面は細長い三角形状で、ところどころに縮みがあり、透明になっています。独特の光沢と滑らかな風合いがあるのはそのためです。

絹繊維は、弾力性があってしなやかで、吸湿性にも優れていますが、紫外線に非常に弱く、直射日光や高温多湿の環境では黄ばんだり染めムラが起こりやすくなります。また摩擦にも弱く、こするとすぐに毛羽立ってしまいます。
このように、絹繊維は非常にデリケートな素材なので、洗濯機・手洗い問わず、水洗いに不向きな素材と言えます
糸にする際には、繭を煮て糸がほぐれやすいように柔らかくしてから繊維の端を見出し、いくつかの繭から見つけ出した繊維を合わせて撚りをかけて糸にします。ポピュラーなものでは、おおよそ6~8本の繊維を合わせて作られます。

ところで絹繊維は、絹の繊維は繭1個分で800~1200mと非常に長いため、天然素材では長繊維に分類されています(他に蜘蛛の糸などもありますが)。これに対して、綿や麻・羊毛などは繊維の長さが長くて2m程度なので、短繊維に分類されています。そのため、太さを表す単位も、一定の重さを基準とする「番手」ではなく、一定の長さを基準とする「デシテックス」が用いられます(少し前までは「デニール」でしたが、国際単位化により「デシテックス」に変更されました)。

絹の歴史は古く、中国ではおよそ3000年ほど前から作られ始めたと言われています。
日本でも明治時代の殖産興業政策により、群馬県の「富岡製糸場(2014年に世界遺産に登録されました)」などで量産されていた時期もありましたが、現在では絹も輸入に頼るようになり、養蚕農家も生産される生糸もかなり規模が縮小しています。それだけ国産の絹は希少価値が高くなっているのです。



天然素材シリーズは、これをもちましておひらきとさせていただきます。
次回からは、人工的に作られる繊維についてお話ししていきたいと思います。

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