ニットリビア・バックナンバー

第9回・麻ってどんな特徴があるの?


前回は、あらゆる繊維の中で最もポピュラーな「綿」を取り上げましたが、今回は、綿にひけをとらないほどポピュラーな「麻」についてお話ししたいと思います。

は、およそ7000年前からミイラを包む布として使われるなど、繊維の中で最も古くから付き合いのある素材です。
ひとくちに麻と言っても、その種類は約50~60もあると言われ、植物学上の分類も多岐にわたっています。そのため、繊維の採れる部位をはじめ、性質や用途もそれぞれ異なります。衣類として使用される代表的なものに、次に述べる亜麻苧麻(ちょま)があります。
1)亜麻(別名;リネン・フラックス)
麻の中で最もポピュラーな素材で、ロシアをはじめ、ヨーロッパや北アメリカで生産されています。
茎にあたる「靱皮(じんぴ)」から採れるため、靱皮繊維に分類されています。
繊維の長さは、30センチから2メートル以上とさまざまで、断面は五角ないし六角形で中は小さな中空で、ところどころに節があるため、繊維同士の摩擦が大きくなっています。
ちなみに、寝具用のシーツ・カバー置場の「リネン室」は、これに由来しています。
2)苧麻(ラミー)
苧麻とラミーは、葉の裏の色が微妙に異なり(苧麻は白、ラミーは淡い緑色)、植物学上厳密に異なる種類ですが、繊維としての性質はほとんど同じです。
苧麻は中国・日本などの温帯、ラミーは東南アジアなどの熱帯が主な産地です。
靱皮繊維に分類され、刈り取りと同時に表皮をはがして繊維を採取します。繊維の長さは7~28センチと長く、断面は楕円形で、亜麻と同じくところどころに節があります。
靱皮繊維には他にも、インドが主要産地の「黄麻」(ジュート)「大麻」 (ヘンプ)などがあります。なお大麻 (ヘンプ)は麻薬の原料にもなるため、国内外において栽培などが厳しく規制されています。

一方、マニラ麻やサイザル麻などは、葉脈から繊維が採れる葉脈繊維に分類されています。
これらの種類は繊維がきわめて硬く、糸にしづらいため、衣類としてではなく、主にロープなどの工業資材や壁紙などのインテリア資材に使用されています。今では聞く機会が滅多にない「リノリューム」は、この麻素材に由来しています。

麻繊維は、繊維自身に強度があり吸湿・速乾性に優れ洗濯や腐食に強い特徴がありますが、綿同様シワになりやすく染色しにくい欠点もあります。しかしこれを精練漂白すれば、絹のような光沢が出てシワになりにくく、吸湿・速乾性にも優れた素材になります。
シャリ感や清涼感など、麻独特の風合いもあるため、麻単独もしくは他の繊維との混紡で、肌着やポロシャツ、サマーセーターなどの春夏向け衣類に幅広く利用されています。


次回は、天然繊維の中でも特に高貴とされ続けている「絹」についてお話ししていきたいと思います。

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