ニットリビア・バックナンバー

第38回・衣類の生産に使われるCADとCAMって何のこと?


前回は、衣類の設計図とも言われるパターンについてお話ししてまいりましたが、パターンを含めて、今や衣類の生産にCAD・CAMと呼ばれるシステムが欠かせない存在になっています。そこで今回は、CAD並びにCAMと呼ばれる自動生産システムについてお話ししていきたいと思います。

前回お話ししました通り、パターン作成やグレーディングはパターン作成者(パタンナー)の技術が要求されますが、近年の多品種小ロット生産が進むにつれて、パタンナーの要求される力量は増大する一方です。また、生産する側では、作業員の高齢化も進んでいます。その一方で、情報化技術の進展も劇的に向上し続けています。こうした背景から、アパレルCADアパレルCAMと呼ばれるコンピュータシステムを利用した衣類の生産が常識になりつつあります。

CADとは、Computer Aided Designの略で、CG(コンピュータ・グラフィックス)技術に基づいて成り立っています。 CGの表示形式には、以下の2種類があります。
1.ベクター型
デザイン画を直線や曲線といった図形で表示する方式で、これによって作り出されるデータをストロークデータと呼びます。主にパーツごとの輪郭が要求されるパターンやマーカーなどを作成する際に用いられ、データを入力するにはデジタイザーと呼ばれる機器を使用します。

図1 デジタイザー


図2 プロッター
2.ラスター型
色の色彩や濃淡の異なる点(ドット)の集まりで表示する方式で、これによって作り出されるデータをイメージデータと呼びます。データ入力にはイメージスキャナーが用いられ、デジタイザーで入力するよりも簡単なため、現状こちらが主流になっています。但し、CADで使用する場合には前者のベクター型のデータに変換しなければなりません。

前回もお話ししました通り、衣類を生産するためのプロダクトパターンは、使用する身生地や裏地・芯地など素材ごとに用意されなければなりません。また、生地の長さや幅はもちろん、素材の毛並みの向きなどといった特性も考慮しなければなりません。そのうえ、パーツの配置によって生地の利用率(効率)が変わってくるため、できるだけロスを出さないようにパーツを配置する必要があります。
これらを計算に入れて、最適に配置されたパーツのデータをマーカーと呼び、マーカーを縮尺して配置や必要な生地の長さ(要尺)を確認しやすくしたものをミニマーカーと呼びます。

図3 ミニマーカーの一例
なお生産するにあたっては、色やサイズといったバランスの問題もあるため、1回の裁断で断ち切られる各パーツの点数も計算に入れることで、必要な生地量の見積りもなされています。

こうしてCADによって作り出されたマーカーは、工場など生産現場でカットデータなどとして利用され、生産面での自動化・機械化が図られます。これらのシステムをアパレルCAM(Computer Aided Manufacturing)と呼びます。

図4 CAMによる自動裁断機
CAMには、先にお話ししましたカットデータに基づいて機械で裁断する自動裁断システムが代表的ですが、縫製の分野でも、すでに刺繍などで実用化されています。 CADが図形やイメージをベースとしているのに対して、CAMは直接生産に関わるため、数値によってコントロールされます。また平面を扱うので、数値コントロールするための装置の数も異なり、これを制御軸数と呼びます。
たとえばパターン作成において鉛筆などで線を描く場合には、タテとヨコの2つの制御軸数が必要ですが、パターンや生地をナイフで裁断する場合は、これにナイフの向きをコントロールしなければならず、3つの制御軸数を要します(但しレーザー光線で裁断する場合は制御軸数2つですみます)。縫製においても、本縫いの場合の制御軸数は2つですが、オーバーロックなどでは送り方向の向きをコントロールするために3つの制御軸数が必要です。

生産現場では、このようにCADシステムとCAMシステムとを連結・連携させることで、CADで作られた画像データは数値データに置き換えられ、CAMがそのデータに基づいて生産されます。IT技術の進歩などにより、今後自動生産システムの分野は、生産工程の管理や品種切替などの情報のやりとりも行われ、コンピュータ管理された生産システムを構築する可能性も秘めているのです。

今回は、本筋から少し脱線したお話しになりました。デザイン設計、パターン作成を経て、いよいよ生産段階を迎えます。次回は、生産段階に必要な情報をまとめた縫製仕様書についてお話ししていきたいと思います。

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