ニットリビア・バックナンバー

第21回・糸にはどんな加工が施されるの?


前回は、短い繊維から糸が作られる紡績についてお話をしました。今回は、糸に加工を施すことによって、さまざまな糸が作り出されるお話をしたいと思います。

紡績された糸のことを、特に綿では「なま糸」と呼びます。「生」を使いたいところですが、それだと「生糸(きいと)」つまりを表すことになります。
紡績されたままの「なま糸」、特にカード糸は毛羽が目立つため、ガスバーナーの炎にくぐらせて毛羽を焼き取り、滑らかにする処理を施すことがあります。これを「ガス糸」と呼びます。
一方、アルカリ性(主に水酸化ナトリウム)の溶液に浸して繊維を膨張させ、天然の撚りを消すことで、絹のような光沢を出す処理もあります。これを、1884年にこの現象を発見したジョン=マーセル氏にちなんで「マーセライズ化」(シルケット加工)と呼びます。

さらに、糸同士を撚り合わせたり、違う色や太さの糸を使用したり、糸自体にさまざまな加工を施したりすることで、次のような糸が作られます。
●カタン糸
縫糸用によく使われる糸です。生地と生地を縫い合わせるための糸なので、生地とほぼ同等の強さが要求されるため、生地に応じて糸を2ないし12本程度合わせて撚り(ツイスト)をかけて作られます。似たようなものに「手縫糸」があります。
同様に漁網用の「漁網糸」もありますが、こちらは過酷な使用条件に耐えられるよう、最大300本程度撚り合わせて作られます。
●手編糸
主に家庭で編み物をする際に使われるもので、毛糸が代表的です。比較的太めの羊毛が使われますが、合繊もかなり使われます。
●刺繍糸
文字通り刺繍用に使われる糸で、光沢と撚りの甘さが特徴です。
●レース糸
文字通りレース用に使われる糸です。編み目を安定させるために、必ず再度撚り直されます。この糸も含めた手芸用の糸を、「手芸糸」と呼びます。
●杢(もく)糸
異なる色の糸を2ないし3本撚り合わせることで独特の色むらを出すことができます。
●ウーリー糸
通常の糸よりもかさ高で非常に柔らかい糸で、特に肌着や靴下など、伸縮性の要求される衣類よく使われます。撚りをかけながら熱セットし、その後自然に撚りを戻す工程が主体で、圧倒的にナイロンが使われます。
●艶糸
脂肪分を含ませた糊を付け、摩擦して作られる糸です。靴紐などによく使われます。
●ラメ糸
極めて薄い合成繊維のフィルムに、着色したアルミニウムを蒸着させて、細い糸状に切ったり芯になる糸に巻きつけて作られます。金属光沢があり、華やかさを醸し出します。

これら以外にも、麻のような感触をもたせた「擬麻糸」、原綿の段階で染色(さらし)したものを紡績した「おぼろ糸」、長繊維(フィラメント)の周りに短繊維を包みながら作られる「コアヤーン」など、加工方法によってさまざまな糸が作られています。また、意図的に糸の種類、太さ、色合い、撚り数などを変えて、さまざまな外観や感触をつくり出す「飾り糸(ファンシーヤーン)」もあります。
糸にさまざまな加工が施されることで、幅広い用途やデザインの衣類が作り出される原動力となっているのです。

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