ニットリビア・バックナンバー

第35回・衣類はどうやって形づくられるの?


衣類のデザインと言われると、衣類の形状や色・柄など外観的な要素をまず思い浮かべるかと思います。

ひとくちに衣類と言っても、色や形はそれこそ星の数ほどあるわけですが、共通していくつかの基本的なデザイン要素が盛り込まれています。これら至極基本的なデザイン要素は、以下の通り分類されます。
1.プロポーション(均整・比例)
ものの長さや大きさ・分量など、人間が美しいと感じる比や割合のことで、特に最も美しいと感じられる割合は「黄金比」と呼ばれます。
たとえば、テレビやパソコンの画面・コピー用紙などの紙・キャッシュカードやクレジットカードなどは、この黄金比と呼ばれる一定の縦横比で作られています。また人体でも7頭身が最も美しく見えるとされています。
2.バランス(対称・釣り合い・均衡)
どんなものにもバランスはつきものですが、衣類の場合は、形状を中心から左右対称(等分)にすることで視覚的に安定感を与えるフォーマルバランスと、左右非対称でも不足している部分を色彩・面積・数量・空間的に補うことで全体的に安定感を与えるインフォーマルバランスに分けられ、特にインフォーマルバランスを追求するには、高度な感覚と技術が必要となります。
3.リズム(律動・旋律・規則正しい動き)
音楽に音の強弱や速度などがあるように、衣類の形状や色においても、一定の規則性でもって繰り返しあるいは循環することで情緒的効果を与えるもので、プリーツ・タック・ドレープ・ラッフルなどに見られます。
4.ハーモニー(調和)
線・形状・色・雰囲気といった異なる要素が良い意味で合致した(しっくりいく)状態にあることです。
5.エンファシス(強調・アクセント)
衣類のデザインにおいて最も強調させる部分のことで、色をはじめ、ボタンなどの副資材・生地の素材や柄・衣類自体の形状などがあります。
6.ユナイティ(統合)
今まで述べてきた5つの要素を統合することです。それぞれの要素が独立しているため、全体的にこれらを格調高く統合できるかがカギとなります

衣類の形(フォーム)は、このように上記の基本的な要素を考慮して造られるわけですが、人体の中心となる胴体部分に着目すると、見た目の形(シルエット)は次の4種類に大別されます。
1.レクタングラー(矩形型・ストレート)
胴体部分が直線的な筒状の形で、ゆったりとした着心地が求められる衣類に適した形になっています。
2.アワーグラス(ウエストシェイプ)
砂時計のようにウエスト部分を狭く(くびれを付ける)ことで人体にフィットさせる形で、特に女性のバスト・ヒップを強調させる衣類に適しています。
3.トラペーズ(台形型・バイアス)
裾に向かって広がるような安定感のある形で、特にスカートやパンツなどのボトムスやワンピースなどに使われます。
4.オブロング
楕円形(卵型)に膨らんだ形で、タックやギャザーによって可愛らしさを表現させることができます。

衣類は全体的なフォームだけでなく、一部分(パーツ)を任意に変化させることで多くのバリエーションを生み出します。その代表例をいくつか紹介します。
首くり(ネックライン)の大きさや形を変化させる【Vネック・クルーネック・スクエアネックなど】、または衿などの附属物を付ける【ポロ衿・シャツカラー・フードなど】。
脇部分(アームホール)の大きさや形を変化させる【ドルマンスリーブなど】、または肩部分まで変化を連動させる【ラグラン・フレンチスリーブなど】。
(スリーブ)の丈や形を変化させる【カフス付・口伏せ・キャップスリーブなど】、または袖を省略する【タンクトップ・オフショルダーなど】。
身頃の一部または全部を縦に切り離す【ポロシャツ・ヘンリーネック・ジャケットなど】。
裾部分の丈や形状を変える【ワイシャツ・ブラウス・燕尾服など】、または紐やゴムなどで絞る【トレーナー・ブルゾンなど】。
パンツやスカートなどの丈(股下)や形を変化させる【クロップドパンツ・キュロットパンツ・タイトスカート・ティアードスカートなど】。

ここまで衣類の形づくりの一般的な内容についてお話ししてまいりましたが、実際の体型は、性別や年齢はもちろん、胴囲や身丈、肩の形状なども個体によってかなり差があるため、どの体型や年齢層などに的を絞ってデザインするかが非常に重要となってきます
次回は、人体の計測などについてお話ししていきたいと思います。

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